FORETSEINE Meguro Tairamachi

コンセプト

フォレセーヌ 目黒平町(2006年3月)

シラカバの森に守られた小渓谷。

住棟が山並みなら、この中庭は小渓谷。
シラカバの森を背にし、外の音を寄せ付けない静謐の狭間に、四季折々の花と樹木の緑、 そして石組みが織りなすモダンな庭園をデザインしました。
メインエントランスとサブエントランスをつなぐ回廊から、四季の移ろいを堪能できます。

既存樹を残し、地表を彩る。

カヤ、シイ、モチ、ケヤキ、ヤマモモ。
この地で年月を重ねてきた既存樹を残し、サクラとモミジなどを新植しました。
春を歓ぶスイセン、初夏に淡い紫色の花が咲くアガパンサス、盛夏が香るラベンダー、秋風を呼ぶヒガンバナなど、
鮮やかな花々が地表を彩ります。

「石組みは、人」。

旧邸宅の美しい日本庭園を形づくってきた数多くの自然石の中には、薩摩藩・島津家の家紋が彫り込まれた石がありました。
往時の石職人たちの高度な技を彷彿させる「矢」跡が刻まれた石は、現在の石匠の技と感性に託され、小渓谷で新たな石組みとして蘇ります。
「石組みは、人」。2つの線が支え合って「人」という字をつくるように、石組みもまた、優れた石と石が支え合ってこそいい石組みになるという。
家紋入りの石を3石選び、「人」という字の石組みを造形しました。

「水の流れは、心」

大きな鯉が泳ぐ、洋間の床下まで入り込む池は、旧邸宅の風情のひとつ。
その水がもたらす景観と潤いを継承するために、石積を流れる小川と、滝となるカスケードをつくり込みました。
静謐な中庭に、石と水の擦れ合う幽玄な音色がゆるやかに流れ、眺める人の心を安らぎへと誘います。